政府が少子化対策として、新たに「若者のライフデザインや出会いの支援」、いわゆる婚活支援に乗り出す方針が明らかになりました。
この取り組みは、若い世代が結婚を含めた将来のビジョンを描くきっかけを提供することを狙いとしています。
こども家庭庁は2023年10月19日に検討会を立ち上げ、若者や専門家の意見を聞きながら、具体策を策定し、2025年度の概算要求に盛り込みたい考えです。
少子化問題の現状
まず、現在の少子化問題の状況について触れてみましょう。
2023年の婚姻数は47万4717組で、戦後初めて50万組を下回りました。
また、2023年に生まれた赤ちゃんの数は72万7277人で過去最少となり、合計特殊出生率も1.20で過去最低の数値を記録しました。これらの数値は、現状の少子化問題を深刻に示しており、政府が手を打たなければならない重要な課題であることがわかります。
若い世代の多様なライフデザインへの対応
結婚や出産などのライフイベントについての考え方が多様化する中で、若い世代がどのようにこれらの問題を考え、どのような支援を求めているのかを探ることが重要です。
こども家庭庁は、「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」を設立し、現役の大学生、結婚相談所の運営者、人口動態の専門家などから意見を収集し、具体策を検討します。
民間と自治体の協力による効果的な婚活支援
結婚支援事業を手掛ける株式会社IBJの石坂茂社長は、「潜在的にパートナーを求めたり結婚したいと思っている人は多いが、民間のサービスを利用していない」と指摘しています。
政府の婚活支援がこのような潜在ニーズを引き出すきっかけとなることは意義があります。
また、「自治体によって支援の質に差があるため、研修やガイドライン作成が必要だ」との意見もあり、地域差を縮小するための取り組みが期待されます。
プレコンセプションケアの必要性
婚姻数の増加が少子化対策に直接効果をもたらすのかという議論もありますが、別の視点として「プレコンセプションケア」が注目されています。
プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を見据えた健康教育のことです。性や妊娠に関する正しい知識を身に付けることは、若者が自身のライフデザインをより意識的に選択する助けとなります。
現在では、企業が福利厚生の一環として「AMH検査」(卵巣内に残る卵子の数を確認する検査)を提供するなど、結婚や妊娠に関する意識も高まりつつあります。このような取り組みが若い世代のライフプランニングを支援する一助となっています。
コメント