「結婚を前提に」と言われ、信じていた相手が実は既婚者だった――。
近年、SNSでの出会いやマッチングアプリの普及とともに、こうした被害が報告されています。さらに妊娠が発覚した場合、その絶望と混乱は計り知れません。
しかし、いざ法的な責任を問おうとしたとき、私たちは大きな壁に直面します。現状の法律で、この卑劣な行為をどこまで裁けるのでしょうか。
なぜ「詐欺罪」にはならないのか
多くの被害者が抱く最初の憤りは「騙された」という点です。しかし、日本の刑法において「詐欺罪(刑法246条)」が成立するためには、相手を騙して「財物(金銭)」を交付させる必要があります。
残念ながら、身分を偽って関係を築く行為は、現在の法解釈では「財産的損害」とみなされにくく、刑事罰としての詐欺罪を適用することは極めて困難なのが実情です。
「不同意性交等罪」の壁
独身だと信じていたからこそ性行為に応じたのであり、最初から既婚者だと知っていれば同意しなかった。そう主張したくても、裁判所が性行為への同意を判断する際、「身分を偽っていたこと」が直ちに「性行為への不同意」に直結すると判断されるケースは非常に稀です。心理的な動機と、肉体的な同意が法的に区別されてしまうため、ここもまた非常に高いハードルとなります。
被害者が今すぐ取るべき「現実的な戦い方」
刑事罰で追い詰めるのが難しい以上、現在の日本において最も実効性が高いのは「民事」による損害賠償請求です。
- 貞操権侵害に基づく損害賠償: 独身と偽り、精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料を請求します。
- 認知と養育費の請求: 出産を選択する場合、相手の婚姻状況に関わらず、子どもには父親に対して認知を求める権利と、養育費を受け取る権利があります。
後悔しないための「証拠保全」
感情的になって相手を追及する前に、まずは「証拠」を確保してください。
- 「独身である」と書かれたメッセージの履歴(LINE、メールなど)
- 交際期間を証明できる写真や記録
- 相手の身分を確認できる情報
これらのデータは、後ほど弁護士と戦略を練る際の強力な武器になります。
最後に、一人で抱え込まないでください
この問題は被害者の過失ではなく、相手の卑劣な行為による結果です。法的な限界があるからといって、あなたが泣き寝入りをする必要はありません。
まずは、男女問題に強い弁護士へ相談し、「法的にどのような責任が追及できるか」を冷静に判断してもらうことをお勧めします。専門家を介すことで、相手と直接やり取りをせずに解決の糸口が見えることもあります。
あなたの未来を守るための第一歩として、信頼できる専門窓口へ相談してください。

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